「おもちゃ図書館&談話室よせぎ」の開設

都電の走る街、東京都荒川区都電小台駅で降りてすぐの、小台本銀座商店街のなかに「NPO法人よせぎ」はある。八百屋、肉屋、魚屋など下町の風情あふれる商店が軒を連ねるなか、よせぎのお店では、クッキーなどの焼き菓子やビーズアクセサリー、手づくりの小物入れなどを販売している。狭いながらも、ガラス張りのお店は明るく開放的で、カウンター越しに厨房から焼き菓子の甘い香りが漂う。代表の西川正美さんが笑顔で出迎えてくれた。

よせぎが発足したのは1991年。人と人との出会いや交流を通し、障害のある人もない人もお互いの素晴らしさを認め合える関係をつくりたいという思いからだ。発足以前の7年間、西川さんは、重度の知的障害のある娘とともに障害のある子どもたちの学童保育に参加し、その中でボランティアとおもちゃで楽しく遊べる場「荒川おもちゃ図書館」を開館してきた。障害のある子どもの親の会が運営していたが、途中から荒川区社会福祉協議会にゆだねられ、毎日の開館となって活動が安定し一安心した頃、仲間のお母さんたちからこんな声が聞こえてきた。

「喫茶店に子どもを連れて行ってうるさくすると、ほかのお客さんに迷惑をかけるし、お茶を飲みながらゆっくり話をする場がほしいね」

「子どもたちも年頃になったから、気兼ねなしにゆっくりとお茶を飲んだり話をしたりする経験をさせてあげたいね」

ゆっくりおしゃべりできる場をみんなが求めていた。

西川さんは同じ頃、イギリスには青年期の障害のある人たちが音楽活動やハイキング、おしゃれを楽しむ「レジャーライブラリー」という活動があると伝え聞いて興味をもっていた。また、東京都国立市の公民館に「喫茶店わいがや」という喫茶店があり、そこで障害のある人と若者たちが一緒に活動していることを知った時期でもあった。高校卒業を控えた娘たちのことを考え始めた頃で、喫茶店を開いてそこが将来娘たちが働ける場にもなればいいなあと夢みていた西川さん。行動は早かった。

1991年、みんなの思いを乗せて、「おもちゃ図書館&談話室よせぎ」が始まる。本人の生活を豊かにしよう!障害のある人たちの"自分の生まれ育った町で暮らし続けたい"という願いを叶えよう!よせぎの最初の事業はこうして生まれた。




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