新型コロナウイルス NPOから寄せられる相談とQ&A(相談の窓口から)

NPO法人の事業報告書等の書類は
いつまでにだすの?

キーワード:NPO法人、報告書、提出期限、遅延 、罰則


TVACには、4月になると事業報告書のご相談が寄せられます。

事業報告書等の提出に関するご相談の中で、多いご相談が「コロナウィルスの影響で事業報告書等の提出が遅れそう。遅れても大丈夫でしょうか。」というものです。


法律はどうなっている?

まずは、事業報告書等についての法律を確認しましょう。

①特定非営利活動促進法(以下:NPO法)では「特定非営利活動法人は、都道府県又は指定都市の条例で定めるところにより、毎事業年度一回、事業報告書等を所轄庁に提出しなければならない」とあります。(NPO法:第29条事業報告書等の提出 )また、東京都の②特定非営利活動促進法施行条例(以下:施行条例)には「事業報告の提出」が定められており「法第29条の規定により、特定非営利活動法人は、毎事業年度初めの三月以内に、規則で定めるところにより、同条に掲げる書類を添付した提出書を知事に提出するものとする」とあります。(施行条例 第4条 事業報告書等の提出)つまりNPO法人は、原則、事業年度が終わってから三ヶ月以内に事業報告書等を所轄庁あてに提出しなければならないということです。もしも③所轄庁へ事業報告書等の提出を怠ると20万円以下の過料に処される場合もあります。(NPO法:第80条 罰則)

今回の新型コロナウィルスのまん延により外出自粛など、人が会うことが制限され、決算もままならない状況に救済策はないのでしょうか。


〇延長のお知らせを出している所轄庁も

東京都の事業報告書等の提出書類の期限について、 NPO法人ポータルサイト/事業報告書等の提出書類の期限について によると、「東京都特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する条例」及びそれに基づく「令和三年四月の東京都特定新型コロナウイルス感染症緊急事態及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する規則」に基づき、令和3年4月25日から同年7月30日までの間に提出期限が到来する事業報告書等又は役員報酬規程等については、7月30日までにご提出いただければ、提出義務の不履行に係る責任は問われないものとなっています。「東京都NPO法人ポータルサイト」

「令和3年4月25日から同年7月30日までの間に、条例などで規定されている履行期限が到来する提出書類」とあるため、事業報告書等の提出期限は、以下のようになります。

令和2年 12月末 決算の法人・・・ 令和3年3月31日までに提出

令和3年 1月末 決算の法人・・・ 令和3年7月30日までに提出

令和3年 2月末 決算の法人・・・ 令和3年7月30日までに提出

令和3年 3月末 決算の法人・・・ 令和3年7月30日までに提出

令和3年 4月末 決算の法人・・・ 令和3年7月30日までに提出

また条例で規定されている履行期限が到来する提出書類とあるため、事業報告書等以外にも認定NPO法人が提出する役員報酬規程なども含まれます。


提出の遅延を相談する

法人の所轄庁が遅延などの措置を発表していない場合は、団体が試行錯誤していることも併せて所轄庁に相談してみてください。内閣府は「 新型コロナウイルスの感染拡大により、法第二十九条で規定されている事業報告書等の提出が遅れそうな場合、どうすればいいですか。(4月21日更新し、黒の下線部を追記しました。) 」で認定NPO法人の事業報告書の遅延についてふれています。続けて、「認定NPO法人に限るものではなく、認証NPO法人も含めたNPO法人について、事業報告書等や役員報酬規程等の提出が期限内に進められない場合、所轄庁に相談することを推奨するものです」ともしています。また、新型コロナウイルスの感染拡大は、「天災の影響など」に相当すると考えられるため、事業報告書等の提出遅延について、「所轄庁に相談することを推奨します」と記載されています。


早めに準備する

東京に主たる事務所を置く団体は、東京都が所轄庁になります。所轄庁である生活文化局都民生活部管理法人課NPO法人担当のホームページでは 現在(令和3年1月12日現在)、「緊急事態宣言及びその後の都の方針に伴い、窓口における各種受付、申請、書類提出にあたっては、感染拡大防止及び人流の抑制を最優先にするため、来庁は控えていただきますようお願いします」、「書類の提出については、原則として郵送でお願いします」、「窓口にお越しの場合は、できる限り少人数でお願いします。また、マスクを御着用ください」とお願いを出しています。郵送は、「必着」で消印有効ではないため、注意しましょう。


都庁へのお問い合わせや相談については、電話等を御利用ください。また郵送の方法については「 特定非営利活動法人ガイドブック本編のP242 」に記載があります。

郵送のやり取りは、期日までに所轄庁に届いたのかなど不安があると思いますので、収受日付印(受け取った日にちが記載された印)を押印してもらい、返送してもらえるように、事業報告書等提出書(提出用と団体側の控えの2枚)を入れ、団体控え用の提出書に付箋で「収受印を押して返信用封筒でご返送ください」とメモを書き、返信用封筒を同封します。返信用封筒には、宛名、切手の貼付を忘れないようにしてください。返送されるまで時間はかかりますが、提出日のわかる控えを保管することができ、期日までに届いたことが確認できます。


〈参考〉

東京都NPO法人ポータルサイト

新型コロナウィルス感染拡大に係るNPO法Q&A(内閣府)

(相談担当:Y)