総会の開催方法
~コロナ禍でのNPO相談事例2~
弁護士 日向寺 司
相談事例2:
「三密」を避けた総会をするにはどうしたらよいでしょうか?
コロナ禍での総会の開催方法について整理してみます。
いわゆる「三密」を避けるための開催方法はないかが気になりますよね。結論からいえば十分可能です。
総会の開催方法については、コロナ禍ゆえの特別な立法措置がなされたわけではありません。というのも、既存のルールの中で対応可能なのと、既存のルール自体が大幅な定款自治を認めているためと思われます。
そこで、既存のルールを再確認していきましょう。
まずは定款を確認
まずは、定款を確認しましょう。いつもは定款も確認せずに、招集通知を送って、集まってもらって、議事録を作って・・・という流れですが、基本に立ち戻って確認してください。
定款に従って開催が可能か、つまり定足数を満たす出席を確保できるかを検討します。
オンラインでも「出席」になる
ここで「出席」したというためには、オフラインで総会議場に実際に足を運ぶ必要はありません。リアルタイムで相互の意思疎通が可能なものを通じて参加していればOKです。(内閣府 https://www.npo-homepage.go.jp/news/coronavirus/coronavirus-qa、特定非営利活動法人制度研究会編『解説 特定非営利活動法人制度』(初版)51頁)zoomなどのウェブ会議システム・サービスを利用しての参加であれば、この要件は満たせるので、出席扱いでOKです。定款の変更も不要です。
出席しない表決権行使方法:①委任状、②書面表決
出席せずに表決権を行使する方法として、
①委任状の活用(定款に記載があった方が好ましい。東京都の定款記載例には記載あり)、
②書面・電磁的方法での表決権行使(定款の定め必要。東京都の定款記載例には記載あり)
の2つがあります。定款に定めのあるNPO法人が多いと思います。
全員の同意が得られるなら「みなし総会」が可能
次に、定款に従って開催できないとき、つまり、定足数を満たせなさそうなときは、「みなし総会」という方法があります。(NPO法14条の9)
これは、実際には集まれないけれど、全員の賛成は得られる場合に用いることが可能です。
このときの議事録は、定款変更の場合の例になってしまいますが、東京都生活文化局のウェブサイトに記載例があります。
https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/houjin/npo_houjin/documents/form/0000001167.html
さいごに
このように、まずは定款をみて、ウェブ会議などの方法で実施することを確認しましょう。
せっかくですから、定款が団体の活動に沿った適切なものになっているか、今回のようなときに総会を開催できる形になっているのか(委任状・書面表決など)確認をし、東京都等が示す定款記載例と比較する、専門家にアドバイスを受けるなどして、必要に応じて定款をアップデートすることをおすすめします。
* 本記事は、2020年6月13日の 総会の開催方法 《コロナ禍でのNPO相談事例2》 の記事の内容を著作者の許諾を得て転載したものです。