当事者ミーティングについて
当事者の集まり(ミーティング)は、多くのSHGにとって中心的な活動ですが、安心して話せるよう閉じられた空間で開催されることが多く、再開のめどが立たない団体がほとんどです。最も再開が望まれる活動でありながら、オンライン化について最も慎重に検討されている活動です。まずは、当事者ミーティングを取り巻く現状について、ご紹介します。
当事者ミーティングの現状
- ミーティングは問い合わせが多いが、休んでいる。
- これができないとなると、会の存在意義があるのか…と思ってしまう。
- 参加人数が多くリアルな場で「密」にならないように開催するのは大変。定員を減らして回数を増やすのは事務局の負担が大きい。そのためオンラインに切り替えた。
- 参加の垣根を下げるために、事前申込不要でやってきた。毎回参加者が違うし、人数もわからないため、オンライン開催はできない。
- 参加者に「安心」できる場を用意できるようになるまで再開できない。
オンライン化についての心配
- いきなりオンラインミーティングを体感した人たちは、再開後、リアルなミーティングに足を運んでくれるだろうか。
- オンライン開催のために申込制にしたら「匿名性」を担保しにくいのではと懸念。
- 信頼関係がないと成り立たない場なので、オンライン開催でどこまで安心してもらえるだろうか。
- その場にいる人の話を聞いてから「話す・話さないを決めていい」というあいまいな参加を大切にしてきたので、オンラインで「順番に話す」スタイルはそぐわない。
- 団体の性質上、当事者でない人が入ってこられないようにしたい。
- 画面の向こう側の様子がわからないことが不安(誰が聞いているか)。
- リアルな場と違って、オンラインミーティングは、外から部屋の中の様子を伺ったり、のぞき見することができず、ハードルが高い。
安心して話せる場をつくる工夫
- いつもより規模を縮小して数名でオンライン開催している。希望者は多いが、団体としてちゃんと運営できる規模で開催。
- 普段のグラウンドルールに加え、オンライン用のルールを追加した。
- 音声や画面の録音はしないことをルールにしている。その場だけで流れて消えていく話だからこそ、気楽に話せる。・事前申し込みをしてくれた人に招待メールを送っている。
- 待機室機能を使い、そこで事務局とチャットしてから入室してもらっている。
- 初めての方は、まず10分お試し参加などができるようにしている。
- スタッフ誰でも進行できるように、オンライン用台本を作っている。
- 「聞いているよ」が伝わるようにうなずく、表情に出すなど、反応に気を付けてしている。
- リアルな場では、人の話を聞いているときに「うん、わかる」とか「そうなんだよねー」というつぶやきができたり、聞けたりすることがとても大事だった。オンラインでは、チャット機能を使って、いつでもなんでもつぶやけるようにしている。
- オンラインだと、一人が話して他の人は聞くという時間は、一方通行な感じがしてしまうため、チャットを使って双方向の場になるよう心掛けている。
- 主催メンバーは、参加者の様子全体が見えるようにギャラリービューにして、参加者一覧、チャットとともに注意を払う。結構、気を遣う。
オンラインミーティングのトラブルと対応
- ハウリング対策だけでなく、生活音やカフェなど周りの音が大きい人への対応として、ホストがミュートを管理する。
- イヤフォンとPCの相性によっては、話していてもマイクが音を拾わないことがある。または、初めてでなくてもうまく参加ができないことがある。いろんなトラブルを想定して、開始時間より前から待機している。
- 事前に練習会を開催する。 参加者の練習と、ホストの練習。両方必要。
やってみて気づいたこと
- オンライン開催になり参加費を受け取れなくなったが、むしろ無料だから気軽にできると感じている。
- オンラインの方がよく発言してくれる人がいる。
- やってみたら参加者全員から「楽しかった」という声があった。
- オンラインで集まっても、結局コロナの話をして終わったりしているが、同じ仲間と話せる場があること自体が求められていると感じている。
顔を出すか、出さないか
当事者ミーティングのオンライン化を検討する際、しばしば「難しい問題」として挙がるのが「顔を出しての参加を必須とするか」「顔を出さなくても参加できるようにするか」ということです。これは、主催者の判断として事前にルールを決めておいた方がいいのですが、団体内でもいろいろな考えがあって一つに合意するのは簡単ではないかもしれません。参考までに、いくつかの団体の例や考え方を紹介します。
顔を出すことを必須としている
- 初めての参加者には、事前に運営メンバーが面談をしている。顔を出したくない場合は、マスクまではOKとしている。
- 運営メンバーの安心安全を守るためにも、全員が顔を出して参加してもらう必要があると考えている。
- あくまでも「みんなで集まる」代わりのオンラインという位置づけだから。
顔を出さなくても参加できる
- 基本的には本人の判断にゆだねている。家庭の都合もあるため。
- 参加のハードルを下げるために、顔は出さなくても参加できるようにしている。
- 普段は主催メンバーも顔を出していないが、自己紹介は必須にしている。
- 顔も音声もNGで、チャットだけなら参加できるという人がいたため。
- 参加者にも事情があると思うので。
(相談担当M)